NYタイムズの株価は10倍になってもおかしくないーという根拠

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グーグルやフェイスブックの株価高騰が話題になることはあっても、ニューヨーク・タイムズ(NYT)に代表される米国新聞社の株価が注目されることは日本ではめったにありません。

日本には株式上場している新聞社はないので、関心を持たれることが少ないのだと思いますが、パリ在住で欧米のメディア事情についてユニークな角度から発信しているMonday NoteFrederic Filloux氏が「NYTの株価は過小評価され過ぎ」という指摘をし、一両日、あちこちのサイトで話題になっています。

元記事は「The NYTimes could be worth $19bn instead of $2bn 」で、代表的なデジタルメディア企業4社−グーグル、フェイスブック、リンクトイン、ツイッターと、コンテンツ企業3社−NYT 、英ガーディアン、BuzzFeedを俎上に載せて、いろいろな角度で切って見せてくれます。まずはその7社の比較のための基礎データがこれ。

この表で分かるのは、グーグルの図抜けた存在です。デジタル収入(2014年)は660億ドル、7兆円。従業員が5万3600人というのも驚きです。収入がライバル、フェイスブックの5倍以上あり、月間ユニークビジター1人あたりの売上が4倍以上、

会員1人あたりの収入では9倍もある。

なのに、時価総額はフェイスブックの2倍もないことから、Filloux氏は、明らかにグーグル株は過小評価されている、と記します。

そして、もう一つの「過小評価」として挙げたのがNYT株のことです。記事の見出しにあるように、NYTの時価総額は20億ドルだが、ざっと10倍の190億ドルに見積もってもいいんじゃないか、と言います。

その根拠は?彼が引き合いに出すのは、デジタル専業だけれど、グーグルやフェイスブックとは違ってコンテンツ企業であるBuzzFeedの数字です。その時価総額は8億5千万ドルで、収入は1億ドル。収入に対する時価総額の倍率は8.5倍です。(Filloux氏は書いていませんが、ネットで検索するとPSR:株価売上高倍率と言うらしい。違ってたらご教示を)

一方、NYTのそれは1.4倍に過ぎない。(冒頭の表にはありませんが、NYTの紙の新聞による収入を含めた2014年総収入は15億9千万ドルです。これで時価総額21億7千万ドルを割ると約1.4となります)

だから、BuzzFeed並に、時価総額21億7千万ドルを8.5倍すれば184億ドル以上になる、というわけです。つまり、それだけの株価上昇の余地があると。

いささか大雑把過ぎるような気がしないでもありません。しかしFilloux氏は、以前、このブログでも紹介しましたが、デジタル収入が徐々に増えているので、デジタルに注力する一方、「紙」の方は一番効率のいい日曜版は残して平日版を止めれば、NYTの経営は盤石、という考えなのです。

ですので、今回の記事でも「いずれそうなると信じてる」と書き、そういう劇的な縮小は株式市場で熱狂的に歓迎されるだろうとし、そういう期待感からも潜在的な可能性をほのめかしています。

さらに、最後のグラフも傍証に挙げます。

従業員一人あたりの売上はBuzzFeedの14万3千ドルに対してNYTのそれは45万7千ドルもあるじゃないか!3倍以上だよ!と。大体、BuzzFeedはトラフィックの大多数はFacebookからで、コントロールされてる弱い立場だ、とも。

さて、このFilloux氏の煽りに株式市場は反応したのかどうかチェックしました。先週末の株価は14.29ドルで、記事が配信された16日は2%上がって14.45ドルでしたが、昨日17日は14.26ドルと先週末の水準に戻ってしまいました。

まあ、しかし5年前は4ドル台だったことを思えば、デジタルへの注力でやや盛り返してはいるのですが、10倍への道はとても険しそうです。

 

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