バフェット氏の新聞買収とPaywall

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新聞社の強烈なリストラや廃刊が相次ぐ米国で、一週間ほど前に、久しぶりに明るいニュースがありました。投資持株会社バークシャー・ハサウェイが、南東部各地で発行されている63の新聞を、コミュニケーション企業メディア・ゼネラルからまとめて買収することが明らかになったのです。バークシャー・ハサウェイを率いるのが、米国版金儲けの神様とも言うべきウォーレン・バフェット氏だけに、「新聞凋落は底を打った」という見方も出てきました。

数年前までは新聞の将来について否定的だったバフェット氏。どういう思惑なのでしょう。そこで探してみたらこういうのがありました。ダウ・ジョーンズとNBCによる経済ニュース専門局CNBCの今年2月末のインタビュービデオです。ありがたいことにそのトランスクリプトがあって、昨年末に、バフェット氏が買収した地元のネブラスカ州オマハ・ワールド・ヘラルド紙の展望について語っているのが読めました。

新聞には地元情報がどんなソースよりいっぱい詰まってると力説したあと、「新聞を売ろうとしてるのと同時にタダで製品(記事)をネットで配ってるというのはいいビジネスモデルとはいえない」と述べています。そこで司会者が「答えはオンライン課金か?」と聞くと「その通り。売ろうと思ってるものをタダでくれてやるべきじゃない」と断言しているのです。

今月初めのエントリーでも紹介しましたが、米国の新聞サイトの有料化は昨年夏頃から急速に拡大し、今年4月初めのBulldog Reporterによると、全米1350の新聞中、ネット課金はその4分の1弱、300紙ですでに始まっているとのことです。USAツデーを擁する大手新聞チェーンのガネットは年内に全80紙のサイトを有料化し、1億ドルの増収を図ると明らかにしています。

バフェット氏の新聞傾斜はこうした流れを汲んだものかもしれません。買収した新聞は殆どが部数1,2万部という小さな町のローカル紙。ほとんどの場合、競合紙はないはずで、新聞のドル箱である3行広告を脅かすクレイグスリストも存在しない場合が多いはずです。したがって小なりと言えど比較的安定しているわけで、これに徐々に一般化してきたネット課金で増収を図れれば、さらに好転するという読みがあり得ます。

これに関連する面白い調査結果が数日前に発表されています。広告、モバイル、オンラインマーケティングなどの「New Media Professional」向けの仕事を紹介するDigiCareersが4月に実施した「Paywall(課金の壁=課金システム)」に関する意識調査です。オンラインで行われ、対象はそうしたニューメディアのプロたちということです。

「Paywallに遭遇したら」52%が即、離脱すると答えた一方、「料金を調べて実際に契約するかどうか検討する」と答えた人が42%もいました。その有料サイトに戻って来るかどうかについては、「あり得ない」は25%に留まり、「あり得る」17%、「分からない」58%でした。また、Paywallを設けた会社に否定的な見方をするかどうかについては、「する」は25%で、少数派で、「しない」が34%、「どちらとも」が41%でした。さらに、「Paywallは高品質コンテンツ供給には必須だ」に同意する人は42%に上り、否定派は23%、「どちらとも」は35%となりました。

回答者がITに関わる人ばかりのようなので、結果は偏っている可能性はありますが、サイトの有料化についての抵抗感はそれほどでもなくなっているのがうかがえます。バフェット氏はそこまで読み切っているのでしょうか。

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