ハイパーローカルニュースサイトの躍進

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何のグラフかというと、アメリカのPatch.comというハイパーローカルニュースサイトの月間ユニークビジター数(推定値)の変化です。去年の11月に100万人程度だったものが4月に500万人近くまで大飛躍していることが分かってちょっと驚き。(孫引きで恐縮ですが、comScoreのデータでは今年4月のユニークビジターは691万人だそうです)

といっても、これは一つのサイトの数字ではありません。全米で展開する800余りのコミュニティベースのサイトであるPatch.comの合計です。AOLが2009年2月に3つのサイトで始めたのが2年余りでここまで増殖したのです。各サイトは人口でいうと1.5万から7.5万人毎に作られているそうで、各コミュティに関係するニュース、イベント、イエローページなどのほか、最近には読者のブログも追加されました。

実は、Patch.comは、3月にAOLに買収されたHuffingtonPostのボスだったHuffington女史が編集主幹を務めるAOLのメディアグループに属します。そこで、HuffingtonPost同様、ブロガーにタダで書かせてさらなる読者を呼びこもうというわけです。5月4日にブログのプラットフォームを作るので、各サイトで5人から10人のブロガーを確保せよ、という指示が出たのが4月25日だったという慌ただしさだったそうです。1サイト10人なら800サイトで8000人を一挙に集めるというのも無茶な話ですが、そういうダイナミックさがこの世界では必要なのでしょう。(でも、現実は2,3人のところが多いみたいですが)

ハイパーローカルニュースサイトとと言えば、Topix.netが有名です。ガネット、トリビューン、マクラッチーという3つの新聞シンジケートの投資を受けて2005年にスタート、今は、全米5000もの細かなサイトを構築、1千万ドルの売上があるとか。ここでは5万のニュースソースから自動的に各ローカルサイトに関連する記事を選り分け、ジャンル分けして配信する仕組みです。まあ、グーグルニュースの機能をさらに細かくしたような。人手はほとんどかかっていないようです。

しかし、Patch.comの方は人手がかかっています。800のサイトにはそれぞれ編集チームがあって、フルタイムの編集長がそれぞれにいて、フリーランサーが手伝う形です。編集長の多くはプロのジャーナリスト出身者。記事はそのチームのメンバーと数十人からなる地元一般メンバーからの投稿で構成し、一般紙からのニュース収集はなし。このあたりは、ニュースアグリゲーションと独自記事(と言っても、適当なまとめ記事が多いですが)のハイブリッドで伸してきたHuffingtonPostとは異なります。また、AOLは今年の第1四半期に4千万ドルをPatch.comにつぎ込む一方、今年中に800人のフルタイムスタッフの採用を計画、1000サイトまで増やすそうで、本気度が伺えます。

このように、米国では新聞の不振が伝えられる一方で、ProPublicaなどNPO報道機関による調査報道や、ここにあげた二通りのハイパーローカルニュースサイトの充実といった方向で、ジャーナリズムの多様化が進んでいるように見えます。そして、既存新聞をリストラされた記者の受け皿にもなっているわけです。それは2011年で158億ドル、2015年度には240億ドルとも言われるオンラインローカル広告市場の見込みがあってこそなわけですが。ちなみにハイパーローカルニュースサイトではコメント欄やディスカッションなどソーシャル的な機能を組み込んでいて、これは広告主に歓迎されるのだとか。

それに引き換え、日本では、まだ大手新聞のサイトがどこも「営利目的のリンク不可」「個別記事へのリンク不可」なんて化石みたいなリンクポリシーを堂々と掲げているなかでは、Topix.net風なサイトは育ちにくいだろうし、なんとかまだリストラが進んでいない日本ではプロ記者の流出もまだ先だからPatch.com的なサイトやNPO報道機関の登場もまだまだ見込めない。日本の新聞がそこまで追い詰められていないことはそれはそれで喜ばしいことですが、一般ユーザーとしてはプロの手になる多様なネットジャーナリズムの充実も期待したいところです。はやりの電子新聞の発行という形の問題ではなく。

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  1. [...] 今月2日のポスト「ハイパーローカルニュースサイトの躍進」では、Patch.comがおよそ半年の間に月間ユニークビジター数を100万から500万に増やし、さらなる拡大のために800人のプロジャー [...]

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