北朝鮮の盗聴ルーム
1977年5月。当時の飛鳥田一雄社会党委員長の訪朝に記者として同行しました。平壌での記者の宿舎は多分、大同江(テドンガン)ホテル。便器にビデまである高級ホテルでした。で、あるとき、部屋を出て階段に向かう途中に見たのです。なぜか、開け放たれた部屋、ドアから窓辺に向かって4,5台のデスクが並び、その上にそれぞれ、そうですねえ直径50センチはあろうかというリールが回ってるテープレコーダー、そしてヘッドフォンを耳に当てた職員たちを。ほんの一瞬後にドアは閉まりましたが、直感しました。この人達は日本人記者が電話で本社と連絡したり送稿される原稿の内容をチェックしてんだな、と。つまり、電話盗聴ルーム。
なんでこんな大昔のことを思い出したかというと、今朝の毎日新聞オピニオン面にあった布施広論説委員のコラム「エシュロンはどうした」を読んだからです。こんな内容です。「米国の情報戦略はヤワじゃない。空と地上の全ての交信を拾えそうなAWACSがあり、全ての電子メールを傍受するFBIのカーニボーもあったし、日本企業の電話,FAX、メールを傍受して米国企業に提供したとされるエシュロンシステムによる産業スパイ疑惑もあった。国家規模の情報収集はルール無用なのだ。ウィキリークスの暴露に驚く時は、その情報を政府がどうやって集めたかを考えてみよう」
だから、「ウィキリークスでクリントン国務長官は怒るのはわかるが、同情するのは失礼だ」とも書いています。言われてみれば、さる11月28日にウィキリークスが最初に暴露したクリントン長官名で各国大使館に宛てた公電では「国連幹部が使用する情報ネットワーク用のパスワードや暗号を調査」することや、「CIAなどのために国連幹部や各国外交官のクレジットカード番号や携帯電話番号などの個人情報の収集」も命じているんですから。その目的は言わずとしれた盗聴、のぞき見による国家機密やプライバシー情報の収集でしょう。それを効率よく行うための情報収集指示だったのですから。
一昔前は、アナログよりデジタルの方が機密性が高いとされていました。「もしもし」という音声や文字で書かれた実際の文書なら内容が一目瞭然ですが、1と0からなるデジタル情報の解読は面倒だと錯覚されたせいでしょう。警察無線を早くデジタルにとか、アナログ携帯電話は盗聴される、なんて話がありましたよね。しかし、時代は進み、コンピュータによるデジタル情報の解読のほうがよほど効率的になっていて、さらなる効率化のために米国はじめどの国家も(日本はどうか知らないけど)血眼になってるわけです。だいたいデジタルにすれば一台のテープレコーダーに一人の人間が張り付くことも不要ですし。あの大同江ホテルの盗聴ルームのように。まさか、いまも稼動してはいないとおもいますが・・・・
Comments(1)
[...] ル(多分)。日本ではウォシュレットがない時代(多分)に、広々した浴室に女性用のビデまであるトイレを備えた高級ホテル。そこに盗聴ルームがあったという話は以前に書きました。 [...]