個人的発言でクビのジャーナリスト2人

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先週のことでちょっと古いですが、気になっているので記録しておきます。日本語情報もほとんどないので。

米国CNNの女性記者Octavia Nasrさんのことです。彼女はレバノン生まれで、CNN本社(アトランタ)に20年にわたって勤務し、先日まで中東問題のsenior editorというベテラン専門記者でしたが、twitterで不用意なつぶやきを書き込んでクビになってしまったのです。

そのつぶやきはもう削除されて残っていませんが、報道によるとさる4日に、母国レバノンのシーア派の最高権威者とされるMohammad Hussein Fadlallah師の死を悼み「悲しい。ヒズボラの巨人の一人だった。尊敬していた」と書き込んだことで、ヒズボラと敵対するイスラエル系団体などから「CNNは偏向している」などと一斉攻撃を受けてしまいます。

彼女は6日に、「判断を間違えた。後悔している」と書き込みますが後の祭り。CNNは「社の編集基準に合わない」とし、翌7日に彼女を解雇してしまったのです。

どうも釈然としないのは、彼女はCNNの記者として「偏向報道」をしたわけでなく、個人的な発信ツールであるtwitterで何気に母国の宗教人の死を悲しんだだけです。それがCNNでの20年のキャリアを吹っ飛ばすほどのことなのだろうかということです。だとすると、これからはジャーナリストがtwitterでつぶやく時はよっぽど気を付けなければなりません。つまり、本音は出してはならないということになります。

実は、報道記事でなく、やはりネット絡みでワシントン・ポストの職を失ったケースが6月に起きていました。保守系団体や共和党の動きに絞った政治ブログをポストのサイトで執筆していたDave Weigel記者です。彼の場合はlistservという一種のメーリングリストでの発言が仇になりました。

このメーリングリストはポストのEzra Klein記者が2007年2月に始めたもので、Journolistといい、リベラルな志向を持つ記者、編集者、学者たちが自由に意見交換をする場としてスタートしました。参加メンバーは数百人規模で、厳しく選考され完全にプライベートな性格だったようですが、ここに投稿したWeigel記者のメールがあるニュース関連サイトで暴露されたのです。内容が共和党長老議員についてのある報道を嘲ったり、あのマット・ドラッジをこき下ろすような刺激的な内容でした。

しかも、暴露はこの一件にとどまらず、極右に対する激しい批判をした過去のメールも次々暴露されてしまい、結局、ポストを去ることになりました。彼は仕事として保守系の動向を担当していましたが、心情的にはリベラルだったので、率直に本音を語ったのが、ここでもアウトに繋がったわけです。

そして、このメーリングリストの生みの親、Kleinは6月末で「グループを削除する」と宣言しました。「良い議論が出来た素晴らしいアイディア」だったが、過去の記事が全て明らかになることで「メンバーのキャリアが危機に瀕する」ことを憂えてのことだとしています。

排他的なメーリングリストにおける仲間内の発言が、あたかも公的なもののように扱われ、記事化されて、いつ暴露されるかも知れない。やはりここでもジャーナリストは本音を語ってはいけない。ジャーナリストは自由な商売のように見えて、ネット時代においては不自由さを忍ばねばならないようです。少なくとも現段階では。

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