性犯罪者の再犯防止策は?
読売新聞朝刊で連載中の「罪と罰 第三部更生への道」の第5回の記事が気になっている。 「子供目当ての暴力的性犯罪受刑者」への対応である。(探してみたが残念ながらヨミウリ・オンラインにはアップされていないようだ)。日本では、2004年11月、奈良市で起きた、わいせつ目的の小1女児誘拐殺害事件を契機に法務省の対応が一歩進んだ。2005年から、この種の犯罪受刑者について、出所後の行き先を警察に通知するようになったのだ。犯罪予防や捜査に役立てるためというが、記事では「その情報を地域住民に知らせることは禁じられている」とあり、その理由について大学教授が「住民が元受刑者を監視するようなやり方は、彼らや家族の孤立感を深め、かえって社会復帰を阻害する」と述べている。
確かに大学教授の見方にも一理はあるに違いないが、実際問題として、この種の犯罪経験者は再犯率が高いとされ、この記事でも、そうしたケースが2例,紹介されている。再犯を防ぐには「覚悟と愛情を持って一緒に生きていく人が必要」という別の大学准教授のコメントが示されているのみだ。ほかに手段はないのだろうか。
気になっているまま、まだ見ていない映画がある。まだ20代という卜部敦史監督の「SCOPE」。5 月1日から当初20日間の予定で始まったものが話題になって続映に次ぐ続映で今のところ7月23日まで上映されることになっているとか。強姦罪で6年間服役、出所した主人公にGPSチップが埋め込まれ、位置情報がネットで公開される近未来での悲劇を描いたものだそうだ。
しかし、現実はもうそこに肉薄している。韓国では2008年8月に、出所した性犯罪者に電子アンクレット(足輪)をつけるという法律(特定性暴行犯罪者位置追跡法)が成立、現在、数百人が装着されているという。アンクレットはサムソン製、重さ80グラムの完全防水で、GPS発信機が内蔵されており、情報は法務部(法務省)の中央管制センターにリアルタイムで届き、記録されると同時に、ポータブル位置追跡器を備えた所轄警察署や保護観察官にも監視される仕組み。
また、米国では、1994年に7歳のミーガン・カンカちゃんが暴行・殺害された事件を契機に性犯罪者の情報を一般に公開することなどを定めたミーガン法が成立、2000年ごろから、インターネットで公開する州が相次ぎ、いまでは全州で公開されているようだ。ちなみにニューヨーク州のDivision of Criminal Justice Service(DCJS)が運営するサイトでは、「苗字」「郡」「郵便番号」のいずれかを入力すると該当する個人名が現れる。提供される情報はフルネーム、顔写真、生年月日、Risk Level(1~3)、人種、身長、体重、髪の色、目の色、現在の住所、犯した性犯罪の概要、刑務所での服役期間と実に細かい。
ニューヨーク州では2009年秋に成立した州法によって、今年3月から、危険度が中間(2)またはハイリスク(3)の性犯罪者が近所に引越してきた時は電子メール、携帯電話のメッセージングサービス、ファックス,電話で通知してもらえるサービスもDCJSが行っている。危険度の低い1レベルの性犯罪者の引越し情報については市民が通話料無料電話をかけた時にのみ対応する。
このサービスを受けるには、関心のある郡/市の名称、郵便番号、特定の住所のどれかか、組み合わせて事前に登録しておく。特定住所の場合は半径4分の1マイルから25マイルまでを指定する。登録されている性犯罪者は3月段階で、30,165人で、レベル2と3で18,000人を超えるとしている。ちなみにDCJSが2009年に処理した性犯罪者の住所変更は3万1千件あまりに達し、毎月170人が追加登録されているという。
日本では法務省が今年からGPS装置について研究を始めたというが、さっぱり話題にならない。性犯罪者の情報公開もありえなさそうだ。また、韓国でも米国でもホルモン治療、強制収容など医学的な対応も法制化されているが日本ではそれもなし。性犯罪者の人権を守っているのは確かだが、再犯防止のために「覚悟と愛情を持って一緒に生きてくれる人」がいない人は、どうすればいいのだろうか。また、被害者になる可能性のある児童を持つ親が全く危険情報を得られないのはどうなのか。全米の性犯罪者情報データベースを集約しているfamily watchdogは<Awarenes is your best defense>と題字下に謳っていて、月間550万人が訪れ、ページビューは7千万に達するという。
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