既存メディア入りしたブロガーたち
NHKの放送記念日特集、21日のBS「メディア地殻変動ー米国最前線ルポ」、22日の総合「激動のマスメディアーテレビ、新聞の未来」を両方とも見ました。BSの方では、一足先に重大危機に直面している米国マスコミの事例がよくまとめられていました。一方、BSで使われた事例などを交えた総合の番組は人選ミス。佐々木俊尚、ドワンゴの川上量生氏対内山日本新聞協会会長、広瀬民放連会長の組み合わせでは噛みあうわけもなく・・・・・(このあたりは多くのブログで言及されてますので、ここではパス)
そこで佐々木氏、例によって「専門性のない記者によって記事が書かれているからマスメディアはだめ。ブロガーの方こそ専門性を持って書いているケースが多い」というような趣旨の発言(正確な表現ではありません。お許しを)がありましたが、それで思い出したのが、ギャレット・グラフ(Garrett Graff)氏のことです。
グラフ氏の名前は知らなくても、2005年3月7日、ブロガーとして初めてホワイトハウスの記者会見場に出席を許されたブロガーと言えば思い出す方も多いでしょう。その彼はまだ29歳ですが、いまワシントニアンという有名雑誌の編集幹部で、近々、編集局長就任も噂されているやり手のようです。で、ホワイトハウス記者会見室に入った当時は23歳で、マスコミで言えば駆け出しでそれこそ何の専門性もなさそうですが、実は彼はハーバード大学の日刊大学新聞Harvard Crimsonの編集長だった経験があるのです。ワシントニアンのサイトにあるプロフィールによればABCNews政治部やアトランティックマンスリーでのインターン経験も積んでいました。そして父親はAP通信の支局長。環境といい、経験といい23歳当時からシロートとは言えない存在だったわけですね。
余談ですが、2005/3/7のニューヨークタイムズの記事によると、この記者会見出席はすんなり決まったものではなく、ホワイトハウスに20回電話してもなしのつぶてだったことをブログ(FishbowlD.C.)に書いたところ、別の著名ブログに取り上げられ、それを見たUSATodayがホワイトハウスに電話したり、CNNが取り上げたあとホワイトハウス記者協会(WHCA)の会長がホワイトハウスの報道室長に掛け合って実現したのだといいます。
彼はそのブログFishbowlD.C.に精力的にワシントンの政治シーンについての記事を書きますが翌2006年にはもうワシントニアンに移っています。で、そのあとを引き継いだPatrick Gavinも2009年1月に、NHKのBS、総合両方の番組で取り上げられた今売り出し中のPoliticoに移っています。Gavinの前の勤め先は国際関係のシンクタンクとして有名なブルッキングス研究所。ただのシロートブロガーではありません。
Politicoは既存メディアであるワシントンポストの編集幹部が中心になって2008年にスタートしたワシントン政治に特化したオンラインサイトで、NHKによれば「記者70人、編集スタッフ20人」といい、どの大手紙のワシントン支局より充実した体制。ワシントン周辺で無料紙も発行、遠隔地には年200ドルで郵送しており、オールドメディアの相貌も残しています。
アメリカの大手メディアのスタッフはより小さなメディアで経験を積み専門性を高めてのし上がってくるという話はよく聞きますが、ブログもまたそういう役割を果たしているということでしょう。日本でそうなる日は何時かは分かりませんが。
Comments(0)