テレビ選挙からネット選挙の時代が鮮明に

19日投開票だった米・マサチューセッツ州の上院議員の補欠選挙。40年近くも民主党が独占してきた金城湯池ともいうべき選挙区で、当初はまったく芽がないと思われた共和党のスコット・ブラウン州議会議員が大本命と目された民主党のマーサ・コークリー州司法長官を破って当選した一件です。

マスコミなどの解説では、民主党のオバマ大統領の進める医療保険改革などへの根強い反発が云々などとしていますが、双方のテクノロジー利用に絞って見ると、ブラウン陣営がコークリー陣営を圧倒していたことが分かるそうです。一昨年秋の大統領選ではオバマ陣営がインターネット活用で共和党のマケイン陣営を圧倒していましたが、今度は全く逆のことが起きたという見方です。

まずは、企業が顧客にリーチするためにいかにネットをうまく使うかを助言するThree Ship Media社のプロジェクトEmerging Media Research Councilがこの選挙戦でソーシャルメディアやブログなどをどのように使い、どんな成果をあげたかを調査したSocial Media Use in the Massachusetts 2010 Senate Special Electionというレポート。

FaceBookにはもちろん双方ともページを設けていましたが、投稿数はブラウン氏(以下B)が125件、コークニー氏(以下C)が58本とB氏の完勝。ファンの数もB氏が70,800で13,529のC氏の5倍と圧倒していました。そのファンがコメントなどを残す活動はB氏ファンがC氏ファンの倍に及びました。

Twitterも双方、使っていてTweet数はB氏142、C氏144と数では拮抗していましたが、B氏がニュース関連でC氏の2倍つぶやいたのにたいし、C氏はフォロワーのつぶやきの繰り返しがB氏の2倍でした。当然、B氏の方にオリジナルな内容が多く生き生きしていた上に、C氏にはB氏より個人的な内容が多かったそうです。行動を呼びかけたりニュース関連の内容の方が有権者を動かすことがこれまでの観察で分かっているそうで、ここでもB氏が正解。で、フォロワーの数も9,679対3,385とB氏の勝ち。

YouTubeはどうかというと、動画投稿数はB氏57本、C氏52本とこれも似たり寄ったりですが、視聴数はなんと578,271対51,173と11倍もB氏の方が多かったそうです。これもソーシャルメディアの使い方で勝った結果かもしれません。

また、私は詳しくありませんが、あのマーク・アンドリーセンによるプライベートなSNSを構築するNINGを使ったページには、今日現在6,880人が参加していて、イベント告知やブログ投稿の場などに使われていました。このあたりも先進的です。

こうした努力が、11月12日段階では51%に過ぎなかったB氏の知名度を1月14日段階では95%まで押し上げる大きな要因になったと結論付けています。

次に面白いのが、B氏陣営が採用したWalking Edgeというスマートフォン用のアプリケーションです。なんでも、一昨年の大統領選で敗北したマケイン陣営の宣伝担当だった3人によるコンサルタント会社が開発したもので、共和党支持の有権者データベースにつないで、運動員のいる位置をGPSで測り、近くにある”見込み客”の自宅をグーグルマップ上に表示するとともにその属性なども表示するというものです。で、個別訪問でいい返事がもらえたらその場でその旨書き込めば、即、全員でシェアできるので効率的に運動ができるというようなことらしいです。

また、グーグルを使った広告も徹底したようです。ウォールストリートジャーナルや、Tech Presidentによれば、YouTubeでのオーバーレイ広告はじめ、アドセンスでは地域限定で露出するようにし、検索に伴うアドワーズ、Gmailなどなどに23万ドルを費やし、マサチューセッツ州の住人向けに1月で6500万回も露出したそうです。

関連記事をざっと見た限り、テレビ広告に死ぬほど支出したというような話は皆無。もはや米国はネット技術をいかにうまく使うかが選挙の命運を分ける時代に入ったという感がふかいですね。まだ、選挙にネットを解禁するかどうか入り口でもたついてる日本は一体、何周遅れかな。

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