米新聞業界10大ニュース
この時期の定番ですが、元をたどればなんと1824年創業、つまり社歴125年にわたって米新聞業界をウォッチングしてきたEditor & Publisher誌(月刊)から、10大ニュース、少し注釈を加えつつ紹介します。
まず10位は訳あって後回し。
9位は「ピュリッツアー賞がウェブに開かれた」ー今年初めて、ウェブだけの報道機関からのエントリーを受け付けたそうです。37サイトから65のエントリー。国内報道部門はセントピーターズバーグタイムズ紙(フロリダ州)に贈られましたが、その理由はオバマ大統領の公約進行具合をチェックし続けているObameterで知られるPolitiFact.comを通常のサイトとは別に運営しているからでした。サイトには<2009 Pulizer Prize Winner>と、堂々の表示です。また、選考委員会は2010年からウェブ報道機関を経ないオリジナル記事も受け付けるようにルールを変えたとのことで、ブログ記事からピュリッツアー賞!なんてこともあり得ることになりました。
8位は「風刺漫画家の首切り相次ぐ」-新聞にニュース連動の漫画を描く人をCartoonistというそうですね。近年、徐々に仕事がなくなっていたようですが、2009年には一挙に30人も職を失ったそうです。もちろん、経費節減の一環でしょう。中には2度にわたってピュリッツアー賞を獲得したDavid Horseyという大物もいましたが、彼の場合はシアトルポストインテリジェンサーが紙の新聞を止め、ウェブだけになったのでクビになったのだとか。ちなみにピュリッツアー賞にはEditorial Cartooningという部門があるのです。
7位「ボストングローブの組合が混乱」-親会社のニューヨークタイムズが赤字に苦しむグローブ紙に厳しい待遇切り下げを提案した件で組合トップの対応が批判されて更迭騒ぎに。広告不況の波は名門紙にも容赦ないという一例です。
6位「大手紙編集局長辞任相次ぐ」-主なところではUSA Today、Newsday、Star-Ledger、Oregonian、Tampa Tribune、Chicago Sun-Times、Washington Timesなどなど。経営悪化で記者をどんどん減らされて、「やってられない!」という要素もあるのかも。
5位「デトロイトの新聞が間引きに」-デトロイトフリープレスとデトロイトニュースが3月から宅配を木、金、日の週3回だけに減らしました。不景気とネットの影響で広告収入が激減しているので、宅配経費を節約してるわけです。ただ週の後半は週末ショッピングに向けての広告が集まるので宅配します。なお、新聞自体は部数を減らして印刷し、街角で売っています。
4位「デンバーとシアトルが1紙だけの町に」-かっては多くの都市に2つの新聞があって競争しあっていたようですが、年々、そうした町は減っていて、今年はデンバーのロッキーマウンテンニュース、シアトルのシアトルポストインテリジェンサーが廃刊になりました。もちろん、そのほか多くの新聞が廃刊になったのはこのブログでも度々お伝えしました。
3位「破産」-Journal Register CompanyとSun-Times Media Groupは破産から立ち直りつつあるそうですが、新たに破産したの新聞チェーンもあります。一方、昨年末に破産した、ロサンゼルスタイムズやシカゴトリビューンなどを擁するTribune Co.はまだ抜け出せないでいます。
2位「無給休暇!」-首切りを何年も続けたあとで、今度はコスト節減のために「有給休暇」ならぬ「無給休暇」を強要する新聞社、新聞チェーンが続出しました。あのニューヨークタイムズも採用し、現在は早期退職優遇制度で人減らしに邁進中。
1位「JOBS,JOBS,JOBS」-連邦労働省の統計では2009年に4万人の仕事が新聞社から失われたそうです。昨年は2万1千人だからほぼ倍増で、この10年でも最大。無給休暇、給与削減、退職基金の凍結に加えて、首切りも進行。オンラインの拡大を目指しながらですから、残った人も大変です。ちなみに1999年の業界人口は42万4500人だったのが、2009年末は28万4220人とか。10年間で、ちょうど3分の1の人が業界を去ったわけです。
さて、おしまいに。ニューヨークタイムズやワシントンポスト、APなど有力メディアがこぞって伝えたのでご存知の方も多いかも知れませんが、E&P誌の親会社、ニールセンメディアが12月10日に、E&P誌の廃刊を公表したのです。で、これが10位というわけでした。同誌のスタッフは頑張って来年1月号の編集を終え、「まだ希望を持っている」としています。数千の激励メールが届き、有名誌なので関心を持つ会社もあるようだとし、どこかに買収されて生き残る道、なきにしもあらず、と。生き残れば、来年の10大ニュースのやっぱり10位になるのかな?
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