宅配よりウェブ利用が高額な新聞社を大物がボロクソ批判!
批判されたのは今月12日のエントリーで紹介したロードアイランド州のNewport Daily News。そうです、紙の新聞を宅配で契約すれば1年145ドル、これに加えて同紙のサイトにアクセスしたければ100ドル加算の245ドル。で、宅配なしサイトにアクセスだけの場合は345ドルという逆転の発想にもとづく料金体系を取ると宣言した新聞社です。エントリー当時は実験中で無料でサイトが見られましたが、現在は「サイトを見るなら契約せよ」というお知らせが出るので、実際にこの料金体系をスタートさせたことが分かります。
そこで、このやり方を正面から批判したのが、今年1月までwashingtonpost.comの編集主幹(executive editor)だったJim Brady氏です。Brady氏はまだ40そこそこですが、大変なやり手。4年余り前に30代で編集主幹に就任し、すぐにwashingtonpost.comを全米有数のサイトに育て上げたことで知られます。その一端は昨年9月1日付けのエントリーで紹介しましたのでご興味のある方はご覧下さい。彼は1996年の同紙のサイト立ち上げチームに加わって以来、ずっと紙とウェブの問題に関わってきた経験から、思い切った批判をしているのでご紹介します。なお、今は英国のメディア大手Guardianの米国事業展開に関わるアドバイザーだそうです。
前置きが長くなりましたが、その批判記事の題は「なぜロードアイランドの新聞による新価格戦略は失敗するのか」というもの。「とにかく何か違うことをやろうとしていることは認めるけど、このモデルはヤケクソ風だ」と指摘します。「将来の読者獲得の戦いで、新聞”紙”が勝ち残るチャンスがあると仮定しているが、そうは思えない」と言うのです。なぜなら、将来の読者たる若者は「アンチ新聞」ではないけれど、「ウェブ好き」なので、万人に向くように作られた(one-size-fit-all)紙の新聞には満足できなくなっていると彼は判断しているからです。ネットを使えばどんなトピックでも深く詳細で多様な情報に行き着けるし、興味や考えを共有する人を簡単に見つけ付き合える。しかもいつでもどんな方法でも可能だから若者はそっちに走ると。
つまり若者がニュース入手の手段としてウェブを頼りにするのは「タダ」だからではなく、「紙」より良質で個別的な情報入手が可能だからだと主張します。したがって、デイリーニュースのようにウェブアクセスに禁止的な価格を設定してウェブから読者を遠ざけて、「紙」に読者を連れ戻そうという戦略はほんの数年間は有効かもしれないが、若者が「紙」を見放しているいるのだから、「この戦略は近視眼的と言うしかない」と切って捨てるのです。
一方、ニューポートのローカル情報を提供する無料サイトは山ほどあるので、市民はデイリーニュースのサイトに行かなくても実際は困らない。もし、同紙がウェブは利益を生み出さないというならさっさとサイトを閉じればよい、とも言って、最後に2つの予言を提示します。「6か月以内に、デイリーニュースは、部数微増とか、ほとんど減らなかったから戦略は正しかった、と主張するだろう」、しかし「数年以内に、紙の継続的減少は深刻な資金難を招き、ウェブでのビジネス構築すら出来なくなる」と。つまり、彼の経験や立場からすれば、新聞社はウェブに活路を見出すしかないということなのでしょう。しかし、ネット広告の伸びに陰りが見え、有効な課金モデルもまだ定かではないし・・・・・・・
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