個人とマスコミを繋ぐDemotix

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しばらく更新をさぼってましたが、この間に米国新聞業界崩壊の予兆が次々と具現化し、おも~~い気分になっていました。でざっと振り返ってみますと、2月末のロッキーマウンテンニュースの廃刊に続き、先月半ばにはシアトルポストインテリジェンサーが紙の新聞の発行をやめウェブのみの体制に移行、クリスチャンサイエンスモニターも先月27日をもって日刊紙の発行をやめ、ウェブに移行しました。これ以外にも、、サンフランシスコクロニクルも風前の灯のようですし、部数数万というローカル紙ともなればいくつも廃刊しています。この夏までに全米1400紙のうち3分の1がなくなるという予測まであるそうです。

潰れるのを回避するために人減らしは当たり前。ニューヨークタイムス、ウォールストリートジャーナル、ワシントンポスト、ロサンゼルスタイムス、USAトゥディといった大手有名紙も全く例外ではありえず、特にロサンゼルスタイムスはこの10年で記者数は半減して600人になったといいます。同紙はかって政治の中心ワシントンDCのオフィスに50人以上の記者を配置していましたが、すでにそのオフィスは閉鎖され、親会社トリビューン傘下の7紙全体で35人という体制に変わりました。また同じトリビューン傘下のシカゴトリビューンとロスタイムズは海外特派員を統合することにしました。

このように大手ですらそうなのですから中小ではもっとひどい記者減らしの嵐が吹き荒れ、ついに少なくなった記者ではやりくりがつかなくなってか、東海岸で隣り合うニューヨーク州、ニュージャージー州の主要5紙(ディリーニューズ、スターリッジャー、バッファローニューズ、レコード、タイムズユニオン。合計部数130万部)が調査報道とコラムを除くすべての記事と写真を共有、利用するという動きにまで発展しています。

こうした悲惨な状況は、広告収入、とりわけローカル紙のドル箱だったクラシファイド広告、日本で言えば3行広告が激減していることと、20年前に6200万部あった発行部数がじりじりと4900万部台まで減り続けるというダブルパンチによります。人口3億でこの数字。日本は人口1億で5150万部あるのですから、媒体力はもともと弱まっていたところにネットの影響をまともに受けたことになります。主な犯人はクレイグスリストやeBayですね。

ご存知のことばかり並べて前置きが長くなりましたが、こうした記者減らしによる新聞社の取材・編集機能を補うネットを使った動きがいくつかあるなかで、先月末に公表された英国・ガーディアン紙の親会社が主催する<Media Guardian Award>の<Independent Media>部門賞を獲得したDemotixに注目したいのです。ここのサイトをご覧いただければ分かりますが、世界中の報道写真がアップされています。でもこれらは通信社や新聞社のカメラマンによるものではありません。すべてフリーランサーかアマチュアが撮影したものです。

Demotixでは広く世界中から報道写真やニュースビデオの投稿を募り、公表に耐えるものを世界中の新聞社やテレビ局に配信して、もし採用されたらその収入を50:50で投稿者に分配するという仕組みです。料金はDemotix社が相手方と交渉できめますが非独占的な使用で写真1枚で50ドルから3000ドルとうたっています。ロンドンに本拠を置く同社のサイト内の説明では「すでに著名な新聞社と契約しており、さらにレイオフで海外支局を失っている米国のマスコミ向けに期待している」とのことです。もちろん、マスコミは海外のニュース写真を通信社から買えますが、通信社カメラマンの数は限られているので、フリーやアマチュアカメラマンによるあらゆる場所からの写真集には敵わないかもしれません。終わったばかりのロンドンでのG20サミット特集を見てその思いを強くしたのです。新聞にはほとんどなかった4000人の激しいデモの写真が圧巻でした。

インターネットが注目を浴びだした10数年前、「これからは個人とマスコミが同じ土俵で世界に発信できる」などという夢が語られました。しかし、中身がどうでも見に来てくれなければ始まらない。しかもネットユーザーといえどもサーフィンするエリアはほぼ決まっているので、やはり大手が強い。その大手マスコミに橋渡しをするプラットフォームとしてDemotixの存在が、アメリカの新聞業界がこういう状況だけに気にかかるのです。写真、ビデオの次は記事もという構想だそうですから。

Demotixの動きとは直接関係はありませんが、先の<Media Guardian Award>の<Connecting Networks>部門賞を獲得した英・BBCの<Shoot the Summer>が面白かったのでメモ代わりに紹介しておきます。これは英国で昨年の夏に開かれた7つの音楽祭の際に、バンドメンバーや聴衆にビデオ機能付き携帯電話を渡して、好きに撮らせた映像集です。例えば若いギタリストが出演前に芝生でのんびりし、女性に出会い、ビールで寛ぐというなんでもない映像など、ノンビリした気分になってなんとなく見てしまいます。これはPCでも携帯でも見られるそうで、こういうのも携帯コンテンツになるのかと気づかされた次第。世界の放送局の先頭を切って新たな試みに挑戦し続けるBBCらしいです。

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1 Comment so far

  1. [...] 報道写真投稿サイトDemotixがCorbis,APと提携 Posted 8月 25, 2011 Comments(0)CGM, ジャーナリズム, 新聞 2年余り前にこのブログで注目した報道写真投稿サイトDemotixが順調に成長しているようです。24日付けのプレスリリースによると、Getty imagesと並んで世界的な画像提供会社であるCorbis imagesが、Demotixに、額は明らかにしていませんが資本参加して、今春に結んだ提携関係をさらに強化することになったということです。 [...]

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