ワシントンポストが一日6時間の生中継番組を放映中~~共和党大会
迂闊でした。先週の民主党大会に触れた記事では、ブロガーやMTVの動きに目を奪われ、MSM(Main Stream Media)の新機軸を見落としていました。実は、下記のことがすでに民主党大会でも行われていたのです!
ワシントンポストのサイトで、politicのページに
Live Video from the Republican Convention
というページが特設されており、なんと
Live broadcasts from 4-6 p.m. and 7-11 p.m. ET Monday-Thursday.
とあります。ワシントンポストの著名な記者が代わる代わるアンカーマン(日本でいうキャスター)を努め、夕方の2時間はその日の出来事、夜の4時間はそれに加えて様々な解説、分析、ゲストとの会話をするという構成のようです。開催地セントポールに結集したワシントンポストと兄弟誌ニューズウィークのチームプレーによる番組作りで、まあ、質と量を勘案すればネットワークテレビ局も敵わない放送になることでしょう。(なおサイトはすでに開設され、日本時間の1日夜段階で10本の放映済みビデオが視聴できます)
よく、知ったかぶりの評論家や学者先生が、「ネット時代に新聞が生き残るには深掘りした記事や解説記事を充実させるべきだ」とのたまわれますが、では具体的にどうすればいいかなどの答えは示されることは皆無ですよね。観念論だけ。だけど、ワシントンポストのこの試みは一つの方向を示すものじゃないかな。もはや、記者個々人が頑張って、多少深みのある記事を書いただけでは新聞「紙」離れの大きな流れは変えられない。その分かりきったことを認識して動いているという意味で。
ワシントンポストのサイトはビデオを中心とするマルチメディア機能では多分、世界で一番進化している新聞社サイトだと思います。その実例を今年のピュリッツァー賞でももっとも権威のある「公共」部門で受賞した「Walter Reed and Beyond」のサイトでの処理に見ることができます。
この記事は、ウォルター・リード医療センターという由緒ある陸軍病院で、イラクやア フガニスタンなどで戦い、傷ついて帰国した兵士が十分な扱い、治療を受けていない実態を1年近くにわたって告発したシリーズ記事なのですが、サイトにはル ポルタージュ形式の長文記事が10本全て掲載されているだけでなく、マルチメディア機能がてんこ盛りなのです。
こんな具合です。まず、戦争体験から来るPTSDに苦しむ元兵士の肉声やPTSDと は何かについての専門家の解説を収めたビデオなどが4本、神経を冒された3人の元兵士本人のナレーションの入ったスチール写真によるスライドショーが3 本、カメラマンが取り貯めた写真を組み立てて、取材した女性記者のナレーションを入れた解説スライドショーが3本などの自社もののほか、この調査報道で対 応を迫られた大統領の会見などのAPビデオニュースクリップを網羅したり、個々の記事に言及しているブログへ数百もリンクを張り、関連ニュース、関連資料へのリンクなどなど。
この機能を存分に使いこなした読者は問題の大きさやその展開を十分に理解し、ジャーナリズムの重要さも感じ取ったに違いありません。
実はワシントンポストは今年、なんと6部門でピュリッツァー賞を獲得したのですが、その殆どがサイトでビデオを中心に十分な付加価値を付けられているのです。
企画記事部門で受賞の日曜版掲載記事「Pearls Before Breakfast」(直訳すれば朝飯前の真珠ですが、本文を読むと猫に小判的なニュアンスか?)は、世界的に有名な米国人若手バイオリニスト、ジュシュア・ベル氏を、朝のラッシュアワーの時間帯に、ジーパンに野球帽というストリートミュージシャンのいでたちでワシントンDCの地下鉄の出口近くに立たせ、3億円以上の名器で45分間演奏してもらった顛末を記した内容。実は隠しカメラで最初から最後まで撮ってあって、記事の公開とともにネットに動画がアップされたのです。
このように観念的に新聞記者にガンバリズムを要求するのでなく、読者の5感に訴えるような報道のありようを紙面連動のサイトで追求し、多くの読者(兼“視聴者”)を引き寄せてきた実績がワシントンポストにはあるのです。それがどうして可能になったか。一言で言えば、Tom Kennedyという傑出したマルチメディア編集長の手腕によるものとされていますが、長くなりますので、今晩はここらで。
Comments(1)
なかなかパワフルな記事ですね。
戦争にしろ、マスコミにしろ、アメリカの徹底的にやる勢いがよく分かります。(だいたいやりすぎることが多いですが…)
怖いのはユーザーが津波のようにやってくる、一方的な情報に流されないかということですね。
反対の意見で対抗してくるメディアサイトが登場すると、エキサイティングな考え方ができておもしろそうですね。
このシステムが流行るといいですね~。